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東京高等裁判所 昭和46年(行ケ)21号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(本件審決を取り消すべき事由の有無について)

二 当裁判所は、次に説示するとおり、本件審決には原告主張の点に違法はなく、原告の主張は理由がないものと判断する。

1 原告の主張四の1について

従来、生産工場において、部品倉庫または治工具室として工場の一部を利用し、工場の天井にとどくような高い棚を工場の片隅に構成し、その中に各部品を収納して、必要に応じ部品、治工具等を取り出すようにしていたことは当事者間に争いがなく、このようにして工場内の適所に部品倉庫や治工具室を設けて在庫管理を行なうことは周知であるところ、引用例のカタログ(一九六一年発行、昭和三六年七月一二日特許庁資料館受入れ)には、物品収納用ひきだしを有する食器棚、調理台、洋服だんす等の各種キャビネットと机と内部にたとえば物品収納棚を形成した隅角用収納箱とを適宜組み合わせて配置し、食物研究室、衣服研究等一定の使用目的に添つた部屋を構成する手段が示されていることが認められるから、引用例記載の手段を上記周知の生産工場における治工具室に適用し、引用例の食器棚、調理台、洋服だんす等の各種キャビネットの代わりに、本願考案のように工具箱を使用して部品工具管理室とすることは、当業者がきわめて容易になしうるところというべきである。原告は、本願考案の治工具管理室は、工場内の要所要所に工具箱、机等によるカウンターを多数設置することにより在庫管理を能率的になしうるようにした点で従来周知の部品倉庫と性格を異にし、また、引用例には室内を特定された用途に、特定された家具で区画する思想が示されていない点で本願考案と異なる旨主張するが、右主張前段の点は、本願考案の要旨ならびに<書証>を総合すると、本願考案の工具箱を原告主張のように限定して解すべき根拠はなく(登録願書添附図面は一実施例を図示したものにすぎない。)、これを利用してカウンター形式とすることは本願考案の構成要件と認められず、また、後段主張の室内を家具で区画する点は、本件審決は、書棚、ロッカー等を組合せ配置することにより職場内の中央部や隅部ないし端部を仕切つて一部署を形成し、管理を行なうことが官公庁、会社等で普通に行なわれているとして、この事実と引用例から、室内を特定された用途に用いるため特定の家具で区画する思想は、当業者がきわめて容易に想到しうるものと認めたのであり、引用例の記載のみからこれを認めたものでないことは明らかであるから、右原告の主張は本件審決の判断を誤解したことに基づく主張というべく、上記原告の主張はいずれも採用の限りでない。

2 同四の2について

右主張は、カウンターを設けることが本願考案の構成要件であることを前提とするものであるが、この点を認め難いことは前認定のとおりであるから、右原告の主張も採用できない。なお、附言するに、カウンター形式を採用することは、カウンター―形式が官公庁、会社等の窓口事務等で普通に行なわれていることが顕著な事実であることから、これを採用するかどうかは、その部屋の用途に応じ、当業者が適宜選択しうる程度のものというべきものであり、格別の考案力を要するものということはできない。

3 同四の3について

本願考案における隅角用収納箱は、室外に在る者の使用に便ならしめるため、区画外から被収納物の出入れができるように構成した点に特微があると主張するけれども、被収納物品の用途や使用上の便宜等に応じ、外から被収納物の出入れができるように隅角用収納箱の向きを選択配置し、または箱の構造をそのようなことが可能な構造とすることは、当業者が格別の考案力を要するものとは到底認めえないから、右原告の主張も採用するに由ない。

以上要するに、本願考案は、引用例および本件審決記載の周知事実からきわめて容易に考案しうるものということができ、原告の主張はすべて理由がないというべきである。

(むすび)

三 以上説示のとおり、その主張の点に違法のあることを理由に本件審決の取消しを求める原告の本訴請求は、理由がないから、これを棄却する。

(三宅正雄 杉山克彦 武居二郎)

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